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(3)将来の航空管制システム
1)通信(C)
洋上を飛行する航空機との通信に静止衛星を利用することにより、管制機関と航空機の間で安定した通信を行うことができる。衛星を利用した航空機との通信のうち、定型的な通信はデータリンクにより行い、非定型的な通信には音声通信を利用する。
データリンクを利用することにより、管制指示や位置通報等の内容を文字により確認できるため、聞き違い等のヒューマンエラーや通信のためのワークロードが低減される。なお、衛星通信を利用するためには、航空機に衛星通信装置を付加する必要がある。
2)航法(N)
航空機の測位のために、周回衛星によるGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用する。現時点で利用可能なGNSSとしては、米国のGPSとロシアのGLONASSが考えられるが、当面の利用についてはGPSが考えられている。GPSを利用するためには、航空機にGPS受信設備等を付加する必要がある。
ただし、GPSを航空航法に利用するためには、Intrgrity,Availability,Continuity等の条件が十分とは言えないため、静止衛星を利用したGPS補強システムを導入する必要がある。
3)監視(S)
洋上の航空機を精度よく監視する方法として、GPS等により航空機側で測定した位置情報を衛星データリンクにより地上に伝送し、地上でレーダー画面と同様に表示するADS(Automatic Dependent Surveillance)により洋上を飛行する航空機の監視を行う。
ADSを行うためには、飛行機側にGPS等で測定した航空機の位置を自動的に地上に送信する機能を付加する必要がある。
(4)MTSATシステム
1)システム構成
MTSATシステムは、航空管制の二一ズに対応できるシステムとして、1999年に東経140度に打ち上げる予定の1号機を利用してフェーズー1の運用を開始する。(図3.2.1−1)
さらに、2004年に東経135度ないし145度に2号機打ち上げ後は、2基の衛星によりホットスタンバイを行うフェーズー2の運用に移行する。(図3.2.1−2)
2基の衛星は、航空機の高利得アンテナのビーム幅の中に両衛星が入るように、静止軌道上で5度以内に配置される。したがって、衛星の障害等により衛星の切替を行っても航空機側では衛星が切換わったことを認識しないで通信を継続することができる。
地上側は、神戸と茨城の2ヵ所に各衛星用の航空地球局(GES)と衛星制御地球局(TTC)を設置し、各サイトに各衛星専用の設備を設置し両局でホットスタンンバイ運用を行う。
2)衛星の諸元
(a)設計寿命

 

 

 

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